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防災・減災に向けた解析・計画

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合成開口レーダー(SAR)衛星データによる雄物川上流の氾濫地域の分析結果

東北地方の雄物川で平成29年7月22日に発生した洪水に伴う浸水範囲について、合成開口レーダー(以下、SAR)※1の衛星データ※2により分析しました。

公表されている想定最大降雨における浸水想定区域図による浸水範囲は、内水氾濫が考慮されていないため単純に比較できませんが、今回の洪水の分析結果と同様の範囲になっていました。

実績の浸水範囲は、内水氾濫も考慮された結果であり、現在、当社では内水氾濫も考慮した氾濫モデル※3による再現計算に取り組んでいます。


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※1:合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)とは、人工衛星等に搭載したセンサーから地上に向かってマイクロ波を照射し、地表からの反射波を受信することでデータを取得するものです。

※2:今回用いたデータは、日本のPALSAR-2衛星データを利用しています。PALSAR-2のセンサーはマイクロ波帯(1.2GHz)の電波は、雲を透過することや夜間でも観測が可能であり、広域のデータ瞬時に取得できることが特徴の一つとなっています。

※3:氾濫モデルは、土木研究所が開発した降雨流出氾濫(RRI)モデルを用いており、降雨流出と洪水氾濫を二次元で一体的に解析することが可能なモデルとなっています。内水氾濫と外水氾濫を同時に解析できるのが特徴の一つとなっています。


分析対象箇所

分析対象箇所は、秋田県大仙市内(秋田新幹線の峰吉川駅付近)としています。
氾濫原は、主に水田地帯となっています。

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雄物川での洪水の状況写真

停滞した梅雨前線により、2017年7月22日正午から雨が降り続き、多いところで累加雨量300mmを超える大雨となり、雄物川上流では洪水による浸水被害が発生しました。

当社は、浸水発生直後から現場に入り、写真撮影等、現地の状況の記録を行いました。


写真1 雄物川46.8k左岸(寺館排水樋門付近)

左側が堤外地、右側が堤内地。
何れも堤防天端付近まで水位が上昇していました。

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写真2 雄物川50.4k左岸(刈和野橋上流)堤内地側の浸水状況

水田は浸水しており地表面は確認出来ませんでした。

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分析対象箇所の浸水想定区域図

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この図は、雄物川水系雄物川洪水浸水想定区域図であり、国土交通省東北地方整備局が公表しているものです。
想定最大降雨における外水氾濫による浸水想定区域図となっています。


SARによる浸水区域の結果

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分析では、洪水前6月29日、洪水後7月25日のSARデータを用いています。

SAR分析により浸水したとみられる区域は、洪水浸水想定区域図のものと概ね同様の結果となりました。

今後、検証が必要ですが、内水氾濫や支川の上流からの氾濫によると思われる浸水箇所(図中赤丸)が、洪水浸水想定区域図より増えています。