採⽔サンプルから⽣息⿂類相を⾼精度かつスピーディに把握
環境DNA分析は、技術⾯や安全性などにおいて調査の負担が少なく、かつ調査地の環境負荷にも配慮した、⽣物の⽣息状況を把握できる環境調査⼿法のひとつです。
当社では、最先端の測定機器による分析に加えて、専⾨調査員の⽣物に関する知⾒を⽣かした、⾼品質の環境DNA解析サービスを提供いたします。
環境DNA調査はどんな技術?
●「環境DNA」はどこにある?
⽔や⼟壌、空気など、さまざまな環境の中から採取される「⽣物由来のDNA」のことを、環境DNA(environmental DNA)といいます。

●「環境DNA」から何が分かる?
調べたい場所の⽔などのサンプルから抽出した環境DNAを解析することで、そこに⽣息している⽣物種の有無の確認や、外来種・希少種などを含む生物種の生息地や移動経路が把握できます。

●なぜ「環境DNA調査」が選ばれる?
魚類の場合、定置網や投網などで捕獲する従来調査との⼤きな違いは、「調査対象となる⽣体を捕獲しない」こと。⽣物や⽣態系への影響がほとんどない、⾃然環境にやさしい調査です。また、調査時間の短縮や、調査費⽤の削減も可能です。
漁具等を使わないため許可申請(特別採集捕獲許可等)が不要で、採⽔に特殊な技術も必要ありません。

令和8年度、当社は、環境DNAに関する組織的な取組みの開始から10年目となります。
環境DNAは、河川水辺の国勢調査に実装されますが、人口減少や技術伝承などの課題を解決する、環境予測との親和性も高い、可能性を秘めた技術と認識しております。
当社はこれまでに、技術者の育成、専門組織の設置、分析センターの開設と機器の充実、研究機関との人事交流と共同研究、実務への活用により、人材と技術を磨いてきました。
環境DNAは精度確保の重要性を認識しています。環境DNA学会がマニュアルに定める技術水準の達成を目的に、社内版マニュアルを整備しており、適切かつ確実に対応します。
当社は⼀般社団法⼈環境DNA学会の会員企業として、学会のマニュアルに則った分析を⾏っています。環境省発⾏の「環境DNA分析技術を用いた調査手法の手引き(淡水魚類・両生類)・第1版(2024年5月)」においても学会のマニュアルに準拠した調査⽅法や分析結果の判読・精査等が掲載されており、学会において標準化された環境DNA調査技術といえます。
また、応⽤⽣態⼯学会など様々な学会にも参画し、知⾒の拡充と技術向上に努めています。

環境DNA学会マニュアル(出典:一般社団法人環境DNA学会)
環境DNA分析は、わずかな空中のDNA混⼊等により誤検出も発⽣するなど、検出感度が⾮常に⾼いため、環境分析を専⾨に⾏う「環境科学技術センター」(さいたま市大宮区)内の厳重に管理された専⽤分析室で、⾼性能機器を使⽤して分析を⾏います。

当社では、⿂類をはじめ各分野の専⾨家による分析結果の精査も併せて実施しており、⾼精度の分析・解析結果をご提⽰できることから、研究機関や⼤⼿企業等からのご依頼も多数いただいています。
お客様の声
公⽴⼤学法⼈⻑野⼤学 准教授 永⼭滋也様
これまで、河川における希少⿂や外来⿂の種特異的解析、⿂類のメタバーコーディング解析でお世話になりました。
ろ過から始まる全プロセスでも、抽出済みの状態からでも、柔軟かつ迅速、丁寧にご対応いただき、とても助かりました。
私⾃⾝でも解析はできるのですが、未経験の種をターゲットにする時や、DNA濃度の濃淡や阻害など解析プロセスで注意を要する時、あるいは⾃分で解析する時間がとれない時などでも、こちらの要望や不安を的確にくみ取っていただける、頼れる分析チームです!
解析結果を使⽤した論⽂発表などの実績もあり、学術レベルにもしっかり対応いただけます。
今後もいざという時には、ぜひ依頼させていただきます!
当社の環境DNA分析結果を使った永⼭先⽣の研究論⽂「Nagayama et al. 2022, Knowl. Manag. Aquat. Ecosyst. 423:4」
陸化した氾濫原におけるイタセンパラの秋の分散と限定的な繁殖の成功

当社は、現場と環境を熟知しています。現地採水、試料分析、データ解析を適切に対応し、高品質な成果物と、安心してご利用いただけるサービスをご提供いたします。ご相談・ご依頼ください。

当社では、「DNAメタバーコーディング」および「リアルタイムPCR」の2種類の方法によるデータ抽出を提供しております。水環境の健全性や水質評価、生物多様性の保全・再生や外来種対策における効果検証など、長期的なモニタリング調査等にもご活用いただけます。

活用例特定の地域における外来種・希少種の存在状況の把握 (DNAメタバ―コーディング)
外来種や希少種の存在有無について、複数地点で環境DNAを調査。生物の生息可能性を確認するとともに、その地域の特性や法令等を考慮した自然環境の改善・保全・再生等、次のステップをご提案いたします。
また、採水場所の位置情報と環境DNAのデータを地図上に図示することで、生息生物と地域の関わりについての理解が一層深まります。

活用例特定の生物について、活動状況を把握(リアルタイムPCR)
生物調査では、四季を通じて生き物の行動や存在確認を行い、生息状況を把握することが重要です。
特定の魚類に関する移動範囲や個体数を把握する際に、環境DNAのリアルタイムPCRで調査を行うことで、その種がどこに、どれほど存在するか、相対的に把握することができます。
例えば、流域における特定の魚類の存在確認の調査では春と秋の調査からどの季節に、どのくらい、どのあたりに存在するかを、環境DNA調査によって取得したデータを流域図にまとめることで、対象種の行動がより把握しやすくなります。

実績例河川改修後の生息生物のモニタリング
堰堤に魚道を設置した後のアユ生息状況の変化を把握するため、環境DNA調査を実施。
アユの捕獲実績とDNA検出結果から、これまで確認がなかった支川でもアユの分布域が拡大している可能性が示されました。また、捕獲実績があってもDNA検出されなかった支川もありました。

実績例カビ臭の原因となる植物プランクトン(藍藻類)を環境DNAで特定
環境DNA技術によるカビ臭原因藻類の出現傾向や、発生状況と環境要因との関係を分析することで、カビ臭原因藻類の発生要因を明らかにし、その観点から有効な抑制対策をご提案しました。
●DNAメタバーコーディング(網羅的分析)
顕微鏡分析では確認できないような低密度であっても検出可能なため、カビ臭原因藻類などの出現状況を高精度で監視することができます。
▲網羅的解析結果の事例
●リアルタイムPCR(種特異的分析)
顕微鏡では識別できない細胞形態が類似した植物プランクトン(藍藻類)が複数種混在していても、カビ臭原因藍藻類に特異的なDNA領域をターゲットとすることで、カビ臭原因藻類のみを定量化することができます。
▲種特異的解析結果の事例
●出現傾向と環境要因の分析
環境DNA技術によるカビ臭原因藻類の出現傾向や発生状況と環境要因との関係を分析することで、カビ臭原因藻類の発生要因を明らかにし、その観点から有効な抑制対策を提案します。
▲カビ臭原因藻類の出現傾向と環境要因との関係

研究事例「点の評価」から「面の評価」へ、将来の活用を見据えた技術開発
環境DNA調査で得られた結果を、事業に活用するための研究を開始しています。
環境DNA調査の結果である「点の評価」を、種分布モデルを活用することで「面の評価」とする研究を行っています。この技術を発展させ、流域レベルの生物分布が予測できる可能性があります。

研究事例環境DNAに関する研究論文
当社は長年、社員の研究開発の支援に取り組んでいます。以下は当社が発表・参画した近年の研究の一部になります。
スクロールで表全体をご覧いただけます
| 実績・文書タイトル・研究参加者 等 | 発行元 |
|---|---|
| 「環境DNAを活用した環境情報の高度化に関する共同研究報告書」 ※研究成果は2025年7月に「環境DNAを活用した環境情報の高度化に関する共同研究報告書」として取りまとめ |
国立研究開発法人土木研究所 |
| 「河川水辺の国勢調査への環境DNA導入に向けた汽水域における魚類の検出傾向の把握. 土木技術資料 67(4) 12-15.」 釣 健司・菅野一輝・村岡敬子・田中孝幸(2025) |
一般財団法人土木研究センター |
| 「環境DNA定量メタバーコーディングを用いた九州北部豪雨直後の筑後川の魚類相調査~回復過程のモニタリングに向けて~. 河川技術論文集 28巻 157-162.」 横山良太・太田宗宏・赤松良久・中尾遼平・乾 隆帝(2022) |
土木学会水工学委員会 |
※下線部は発行当時の当社社員を示しています
「⼀般社団法⼈環境DNA学会」の会員企業である当社は、学会主催の様々な⼤会に参画し、環境DNA調査技術に関する研究発表や、最新技術を紹介するポスター展⽰などを⾏っています。
※以下の情報は、開催当時の内容となります。下線部は発行当時の当社社員を示しています。
応用生態工学会の賛助会員である当社は、第28回新潟大会において、官民様々な組織とともに共同研究を行った環境DNAに関する研究成果を発表しました。
ポスター発表
●自由集会(下線:当社所属)
環境DNA:現場実装の最前線
企画者:郡司未佳(日本工営株式会社)、沖津二朗(応用地質株式会社)、釣 健司(株式会社建設環境研究所)、太田宗宏(株式会社建設環境研究所)、村岡敬子(国⽴研究開発法⼈ 土木研究所)
●口頭発表(下線:当社所属)
発表タイトル:渓流保全工区間における環境DNA調査の適用
発表者:横山良太※1、鈴木啓介※2、戸田満※2、川邊三寿帆※2、谷川優太※2、島村彰※1、関根洋※1、釣 健司※1
※1 株式会社建設環境研究所
※2 国土交通省 北陸地方整備局 湯沢砂防事務所
●ポスター発表(下線:当社所属)
発表タイトル:環境DNAメタバーコーディングにおけるPCR阻害対策の手法比較
発表者:釣 健司※1、村岡敬子※2、服部啓太※2、田中孝幸※2
※1 株式会社建設環境研究所
※2 国⽴研究開発法⼈ 土木研究所
●口頭発表(下線:当社所属)
発表タイトル:Study on the ayu spawning sites using environmental DNA analysis in the Naka River
(和訳:環境DNA分析を用いた那珂川におけるアユの産卵場所に関する研究)
発表者:Kensuke Sugimoto※1, Yoichi Kawaguchi※1, Takahiro Sato※1, Kyosuke Minami※2, Shingo Aoki※2, Koichiro Mizushima※2, Munehiro Oota※2
※1 Tokushima University
※2 KenKan Consultants Co., Ltd.
●ポスター発表(下線:当社所属)
発表タイトル:Differences in concordance ratios between environmental DNA metabarcoding and capture surveys among fish species
(和訳:魚種間におけるeDNAメタバーコーディングと捕獲調査との整合率の違い)
発表者:Kazuki Kanno※1, 3, Ryusuke Shinohara※1, 4, Souta Nakajima※1, Keiko Muraoka※1, Masashi Kanaya※2, Kazutaka Sakiya※1
※1 Watershed Restoration Team, Water Environment Research Group, Public Works Research Institute
※2 River Environment Division, Water and Disaster Management Bureau, Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
※3 (Present Address) KenKan Consultants Co., Ltd.
※4 (Present Address) WESCO Co., Ltd.