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調査・解析

自然災害対応の取り組み

令和元年東日本台風(台風19号)による災害対応

令和元年10月に発生した台風19号による災害に対し河川管理者の要請を受け、東北地方の河川で発災直後から被災状況の確認を行うとともに、対策工の設計を行いました。
また、関東地方の 河川では「土木学会水工学委員会 令和元年台風19号豪雨災害調査団」にも参画しました。
 

堤防侵食の被災状況把握

根固工流出の被災状況把握

小田川の浸水氾濫区域の解析

小田川での浸水痕跡水位の調査

平成30年7月豪雨により、小田川で複数の堤防が決壊し真備町の約1200ha、約4600戸が浸水しました(中国地方整備局8月10日発表)。

この堤防決壊の原因は、高梁川と小田川の水位差により、高梁川の水量が小田川に逆流し、小田川の水位を上昇させた背水現象(Backwater:バックウォーター)と言われています。

当社は、土木学会水工学委員会水害対策小委員会の活動に協力し、7月21日に真備町に入り、写真撮影等、現地の状況の記録を行いました。

 
小田川での浸水痕跡水位の調査

写真 現地状況の記録



Nays 2D Floodによる浸水区域の結果

解析は、以下の条件(表1)で行いました。
 
 

表1 解析条件の一覧

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計算条件 係数
計算区間 0kmから3.6km地点
計算期間 7/7 0:40~7/8 12:50 (129,600秒)
計算間隔 0.2秒間隔
標高データ
(国土地理院 標高タイル)
ズームレベル13(解像度:15m)
格子サイズ 約15 m×15m
氾濫流量 高梁川の水位を考慮した小田川3.4km地点の
破堤時の横越流量(m3/s)
小田川の河床勾配 1/1515
粗度係数 低水路:0.028
高水敷:0.08
水田・畑地:0.025
宅地:0.04
破堤箇所の地盤高 15.99 m(左岸堤防高)から10.54mへ

Nays 2D Floodによる浸水区域の結果図1 解析結果(7月8日午後12時50分の結果)

 

Nays 2D Floodによる浸水区域の結果図2 平成30年7月豪雨に係る岡山県倉敷市真備町の推定浸水範囲の変化 (国土地理院のHPより転写)

解析の結果(図1)、国土地理院が公表した推定浸水範囲の変化(図2)の範囲とおおむね同様の浸水範囲となりました。
(図2は、平成30年7月豪雨に係る岡山県倉敷市真備町の推定浸水範囲の変化であり、動画や真備町の上空から撮影した写真より、時系列的な浸水範囲の変化を示しています。)
この解析により、平成30年7月豪雨における小田川の外水氾濫について、浸水範囲の再現が出来たといえます。
 
 
:川の水が堤防からあふれる、または川の堤防が破堤した場合に起こる洪水。
 
 
 

雄物川氾濫地域の分析

東北地方の雄物川で2017年7月22日に発生した洪水に伴う浸水範囲について、合成開口レーダー(以下、SAR)※1の衛星データ※2により分析しました。

公表されている想定最大降雨における浸水想定区域図による浸水範囲は、内水氾濫が考慮されていないため単純に比較できませんが、今回の洪水の分析結果と同様の範囲になっていました。

実績の浸水範囲は、内水氾濫も考慮された結果であり、現在、当社では内水氾濫も考慮した氾濫モデル※3による再現計算に取り組んでいます。
雄物川氾濫地域の分析

※1:合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)とは、人工衛星等に搭載したセンサーから地上に向かってマイクロ波を照射し、地表からの反射波を受信することでデータを取得するものです。

※2:今回用いたデータは、日本のPALSAR-2衛星データを利用しています。PALSAR-2のセンサーはマイクロ波帯(1.2GHz)の電波は、雲を透過することや夜間でも観測が可能であり、広域のデータ瞬時に取得できることが特徴の一つとなっています。

※3:氾濫モデルは、土木研究所が開発した降雨流出氾濫(RRI)モデルを用いており、降雨流出と洪水氾濫を二次元で一体的に解析することが可能なモデルとなっています。内水氾濫と外水氾濫を同時に解析できるのが特徴の一つとなっています。
 

分析対象箇所

分析対象箇所は、秋田県大仙市内(秋田新幹線の峰吉川駅付近)としています。
氾濫原は、主に水田地帯となっています。
雄物川氾濫地域の分析

雄物川での洪水の状況写真

停滞した梅雨前線により、2017年7月22日正午から雨が降り続き、多いところで累加雨量300mmを超える大雨となり、雄物川上流では洪水による浸水被害が発生しました。

 

当社は、浸水発生直後から現場に入り、写真撮影等、現地の状況の記録を行いました。雄物川46.8k左岸では、堤防天端付近まで水位が上昇し(写真1)、雄物川50.4k左岸では、水田は浸水しており地表面は確認出来ませんでした。(写真2)

 

雄物川での洪水の状況写真写真1 雄物川46.8k左岸(寺館排水樋門付近)

雄物川での洪水の状況写真写真2 雄物川50.4k左岸(刈和野橋上流)

分析対象箇所の浸水想定区域図

分析対象箇所の浸水想定区域図

この図は、雄物川水系雄物川洪水浸水想定区域図であり、国土交通省東北地方整備局が公表しているものです。
想定最大降雨における外水氾濫による浸水想定区域図となっています。

 

SARによる浸水区域の結果

SARによる浸水区域の結果

分析では、洪水前6月29日、洪水後7月25日のSARデータを用いています。
SAR分析により浸水したとみられる区域は、洪水浸水想定区域図のものと概ね同様の結果となりました。

今後、検証が必要ですが、内水氾濫や支川の上流からの氾濫によると思われる浸水箇所(図中赤丸)が、洪水浸水想定区域図より増えています。
 

富士川の流砂量解析

当社は平成23年より、富士川でハイドロフォンや可搬式流砂量観測装置などの最新観測設備を用いた流砂量観測を開始し、多くの業務実績と観測経験を蓄積してきました。

これらをもとに、流砂量観測に関する技術提案、現場観測の実施及びデータ解析に精力的に取り組んでいます。

 

1.洪水時における流砂量観測

洪水時の河川における土砂の移動形態は、「掃流砂」「浮遊 砂」「ウォッシュロード」に分類されます。

当社では、それぞれの構成成分を精度よく計測できるよう、様々な観測装置・計器を用いて常時観測および出水時調査を実施しています。

流砂観察

流砂観測(河床からの高さと土砂粒径の関係図)



2.流砂量観測精度の向上に対する取り組み、および観測データの活用方法に関する研究

大学研究者や国総研砂防研究室と意見交換を行い、業務にフィードバックして観測精度の向上に役立てています。
あわせて、流域の土砂生産活発度の評価や土砂災害の監視に活用するための手法についての研究を積極的に行なっています。

流域監視イメージ

P-A曲線についてP-A曲線について

 

P-A曲線を使用した分析事例P-A曲線を使用した分析事例

3.流砂量観測技術向上への寄与

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発表年月 発表学会  論文名  発表者・著者
2019.5 砂防学会研究発表会 流砂量観測機器を用いた土砂災害に対する危機管理に関する一考察 藤田正治(京都大学)、富田邦裕、叶正興、井内拓馬、重村一馬(建設環境研究所)、万徳昌昭、小島隆、木暮一也、三雲浩司(国土交通省)
2019.5 砂防学会研究発表会 ハイドロフォンを用いた流砂量観測の留意点 藤田正治(京都大学)、富田邦裕、叶正興、井内拓馬、重村一馬(建設環境研究所)、万徳昌昭、小島 隆、木暮一也、三雲浩司(国土交通省)
2019.5 砂防学会研究発表会 ハイドロフォンの感度変化に関する現地実験 井内拓馬、山本和彦(建設環境研究所)、吉村暢也(株式会社コルバック)、内田太郎、泉山寛明(国土交通省)
2018.5 砂防学会研究発表会 富士川水系・大武川第50床固工における浮遊砂観測結果の分析と考察  富田邦裕、叶正興、井内拓馬、重村一馬(建設環境研究所)、藤田正治(京都大学)、田中秀基、小町谷彰、木暮一也、角岳志、山野利勝(国土交通省)
2018.5 砂防学会研究発表会 阿武隈川上流における出水時の土砂移動特性について 叶正興、井内拓馬、高橋正志(建設環境研究所)、中孝(国土交通省)
2018.5 砂防学会研究発表会

数値実験によるハイドロフォンの測定限界に関する検討

井内拓馬、叶正興、山本和彦(建設環境研究所)、内田太郎、桜井亘、高原晃宙、小松美緒(国土交通省)
2017.5 砂防学会
研究発表会
現地実験によるハイドロフォン(パイプ型、プレート型)の観測特性に関する考察 富田邦裕、叶正興、重村一馬(建設環境研究所)、田中秀基、小町谷章、槫林哲也、角岳志、内田太郎、泉山寛明、井内拓馬(国土交通省)
2017.5 砂防学会
研究発表会
ハイドロフォンによる流砂量の現地計測度と問題点の改良
-富士川での観測結果の考察-
藤田正治、堤大三(京都大学)、富田邦裕、叶正興、重村一馬(建設環境研究所)
2016.5 砂防学会
研究発表会
現地実験によるプレート型ハイドロフォンとパイプ型ハイドロフォンの測定値の適用範囲等に関する考察 富田邦裕、叶正興、重村一馬(建設環境研究所)、田中秀基、村松悦由、槫林哲也、渡辺正彦、内田太郎、田中健貴、井内拓馬(国土交通省)