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生物多様性について

生物多様性とは

生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのことをさします。地球上の生きものは40 億年という長い歴史の中で、さまざまな環境に適応して進化し、3,000 万種ともいわれる多様な生きものが生まれました。これらの生命は一つひとつに個性があり、全て直接に、間接的に支えあって生きています。生物多様性条約では、生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性という3 つのレベルで多様性があるとしています。

3 つのレベルの多様性

・生態系の多様性 ・種の多様性 ・遺伝子の多様性

(環境省ホームページより引用)

なぜ生物多様性が注目されるのか

2020年世界経済フォーラム(WEF)による試算によると、生態系サービスから生じる付加価値は、世界総GDPの約52%(44 兆ドル)に相当とされています。

また、『グローバルリスク報告書(2022年度版)』ではリスクのうち上位3つについてと環境課題で占められており、第3位に「生物多様性の損失」が挙げられています。このことからも、世界規模で気象変動関連に加えて、生物多様性に関する重要性に注目が集まっています。

生物多様性に関する目標

2022年12月にモントリオールで開催された、「国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)」で2030 年までに地球上の陸域、海洋・沿岸域、内陸水域の30%を保護する合意がなされました。また、2050年ゴールや2030年ターゲット(下記説明参照)が定められました。

主な2030年ターゲットの概要
  • ・ターゲット3:2030年までに陸と海のそれぞれ30%以上を保護・保全(30by30)

  • ・ターゲット6:2030年までに侵略的外来種の導入率・定着率を半減

  • ・ターゲット8:自然を活用した解決策等を通じた気候変動の生物多様性への影響の最小化

  • ・ターゲット15:ビジネスによる影響評価・情報公開の促進

また、日本でも環境省による"30by30(サーティ・バイ・サーティ)" の活動が進められています。2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標で、環境省は全国122カ所を、令和5年前期の「自然共生サイト」に認定。これら「自然共生サイト」の情報は、「30by30アライアンス」WEBページ等で公開されています。

(外務省、環境省ホームページより引用)

企業の情報開示における動向

従来、企業が市場に対して公開する情報開示の主な内容は財務情報が多く見られました。しかしながら、財務情報のみでは企業が持つ価値やリスクを判断することが困難となった背景から、より企業活動を多角的な面から判断することが求められるようになりました。

日本においても持続的成長に向けた企業の自律的な取組を促すことを目的とし、2015年にコーポレートガバナンス・コード(※2)が策定され、全上場企業に適用されました。近年では、2021 年に改定され、基本原則の中に「社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題」や「情報開示の充実」などの原則があります。

また、企業への投資活動の動向で「ESG 投資」でも同様に財務情報のみならず非財務情報が重視され、環境、社会、 企業統治に関する情報開示が進められています。ESG対応においては、CSR活動などの企業側からの情報発信に変わり、企業をとりまくステークホルダーへの情報開示・活動説明責任へと観点がシフトしています。その中でE(環境)に関わる情報開示については従来の「地球温暖化対策」に加えて「生物多様性の保全と持続可能な利用」の観点が追加されています。

※2 コーポレートガバナンス・コード:会社が、株主をはじめとするステークホルダー(顧客・従業員・地域社会等)の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み。

生物多様性に関する情報開示の動向

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)による気候変動関連の情報開示の枠組みは、2021年からは東京証券取引所のコーポレイトガバナンスコードにも位置付けられました。気候関連の情報開示に加え、生物多様性分野に関するTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース:Taskforce on Nature-related Financial Disclosure)についても、2023年9月に最終提言となる「v1.0」が公表され、今後TCFD同様の対応が必要になることが見込まれるため、生物多様性に関する情報開示ついて日本でも大企業を中心に準備が進められています。

* 本ページの内容は2023年12月時点の内容です。

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